Godot Engineの「今」が凝縮!産業利用から3D都市モデル、Steam対応まで。熱気に包まれた『Godot Meetup Tokyo Vol.6』レポート

オープンソースのゲームエンジンとして急速にシェアを伸ばしている「Godot Engine」。その国内コミュニティによる有志イベント「Godot Meetup Tokyo Vol.6」が開催されました。

半年ぶりの開催となった今回は、ゲーム開発のTipsにとどまらず、自動運転トラックの支援ツールといった産業利用の事例や、PLATEAU(3D都市モデル)との連携など、Godotの多才さが光るセッションが目白押し。主催のコリン氏、Saitos氏らによる運営のもと、会場(CRI・ミドルウェア提供)には多くの開発者が集まりました。

本記事では、当日行われた4つのライトニングトーク(LT)と、海外カンファレンス「GodotCon Berlin」のレポートをダイジェストでお届けします。

🏮 1. 個人開発者のためのSteamリリース術とMac対応の秘訣

登壇者:Inubass氏

最初の登壇者は、Steamで複数のタイトルをリリースしているInubass氏。個人開発者が直面する「マルチプラットフォーム展開の泥臭い課題」を、Godotでの解決策とともに提示しました。

💡 主なポイント

  • Depot(デポ)の効率化: Steamのデポ機能を活用し、Windows/Linux/Macで共通のデータパッケージを使い回す設定方法を紹介。

  • Mac対応のリアル: Mac版のビルドは手間がかかるが、Godotのエクスポート機能と簡単なディレクトリ構造の理解(.appはただのディレクトリ)で、Mac実機がなくてもリリースまで漕ぎ着ける手法を解説。

  • クロスプラットフォーム・セーブの罠: OSごとに異なるセーブパスを、Steamクラウドでどう同期させるか。デフォルト設定に頼らず、手動でパスをオーバーライドする重要性を強調しました。

🚚 2. 自動運転トラックのHDマップ編集ツールをGodotで構築

登壇者:swd氏(T2株式会社)

続いては、非常に珍しい「ノンゲーム枠」での登壇。自動運転トラックを開発するT2株式会社のswd氏より、Godotを用いた高精度3D地図(HDマップ)編集ツールの開発事例が紹介されました。

🛠️ なぜGodotを選んだのか?

  • 大量の点群データ処理: 数千万点に及ぶ点群データを扱うため、Webベースではなくネイティブなメモリ管理ができるGodotを選択。

  • Linux親和性: 開発環境がLinux中心であるため、クロスプラットフォーム対応が強力なGodotが最適だった。

  • C#とImGuiの活用: ImGuiGodot を使用し、既存のC++ライブラリやC#の資産を活かしながら爆速でGUIを構築。

特筆すべきは、AIによる開発効率の高さです。約9割のコードをAI(GitHub Copilotなど)とのペアプログラミングで生成し、1.4万行のコードを短期間で書き上げたとのこと。産業用ツールの基盤としてのGodotのポテンシャルを証明する内容でした。

🏙️ 3. GodotでPLATEAUを動かす!3D都市モデル活用の最前線

登壇者:shiena氏

国土交通省が進める3D都市モデルプロジェクト「PLATEAU」。Unity/Unreal Engine向けのSDKは公式提供されていますが、shiena氏はこれをGodotで扱うためのライブラリを開発しました。

🚀 実装の工夫と課題

  • 動的ロード: サーバーからCityGMLデータを取得し、メッシュとテクスチャをGodot上で再現。

  • リソース制限への対策: 大量のビルドモデルを読み込むとGodotのリソースID(RID)の上限に達してしまうため、メッシュ結合による最適化が今後の課題として挙げられました。

「ライブラリは作ったので、皆さんはこれでアプリを作ってください!」というshiena氏の呼びかけに、コミュニティの広がりを感じるセッションとなりました。

🎨 4. Asepriteインポーターを自作して開発効率を最大化

登壇者:ChocolaMint氏

ドット絵制作ツール「Aseprite」のデータをGodotへ最適に持ち込むための、インポータープラグイン開発に関する技術解説です。

🔍 効率的なワークフローの提案

  • JSONエクスポートの活用: Asepriteのプロジェクトファイルを直接解析するのではなく、出力されたJSONとスプライトシートを解析して SpriteFrames を自動生成。

  • カスタマイズの自由度: 既存のプラグインに満足せず、足音などのイベント(コールバック)をスライスごとのユーザーデータに埋め込み、アニメーションの特定フレームで発火させる仕組みを自作。

「正解は一つではない。ゲームのニーズに合わせてインポーターを自作できるのもGodotの魅力」という言葉が印象的でした。

🌍 番外編:ベルリンで開催された「GodotCon 2024」現地レポート

登壇者:KorinVR氏

最後に、主催のKorinVR氏から、ドイツ・ベルリンで開催された公式カンファレンス「GodotCon 2024」の参加レポートが共有されました。

✈️ 世界のGodotコミュニティの熱量

  • 参加者500人規模: 文化施設を改装した会場で行われた、オープンソースらしい非常にオープンで和やかな雰囲気。

  • W4 Gamesの動向: コンソール(Switch等)への移植支援を行うW4 Gamesによる、エンタープライズ利用拡大に向けたセッションが注目を集めていた。

  • XRとモバイル: Meta Quest版Godotエディタや、iPad版エディタのデモが大きな反響を呼んでおり、マルチデバイス開発の未来が示されました。

💬 編集後記:日本でも加速するGodotのムーブメント

今回のMeetupで感じたのは、Godotが単なる「Unityの代替品」ではなく、**「特定の用途に合わせて自由にカスタマイズできる柔軟な基盤」**として選ばれ始めていることです。

ゲーム開発はもちろん、点群データを扱う産業ツールや、公共データのビジュアライズまで、その活用範囲は想像以上に広がっています。次回は2026年4月〜5月頃の開催が予定されているとのこと。さらなる盛り上がりに期待が高まります。